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ダーウィン事変 #11

人間とチンパンジーの間に生まれたチャーリーを主人公に据えて、倫理とか主義とか思想とか、テロとか差別とか暴力とか、そういうのについて考える話。センシティブな問題をぼやかさずに描くことで注目され評価されているが、こういう作品で最も難しいのは結末であり、原作はまだ完結していない。 重要なポイントは、チャーリーが達観的に描かれていることだと思う。周囲の人間が彼を蔑んだり主義主張で争ったりしても、彼自身は気にしていない。過激な活動家たちが事件を起こしても、彼は暴力に抗うだけで思想には触れていない。中立ではなく別次元なのであり、ときに人間が思いつかない言葉で現実味に重さを与えてくれる。 しかしそれは同時に、彼が人間の思想にはあまり関心がないという意味でもあって、結果として、物語はチャーリーよりもALAを主軸として展開することになっている。ヒューマンジーが人間社会でどう生きてどう考えてどう変わっていくのか、ではなく、ヴィーガンとか動物解放とかの主張を延々と聞かされる、先鋭的な集団のテロ行為を延々と見せられる、そういう作品になってしまっているのだ。 だから、ともすれば思想の喧伝と捉えられかねないし、考えさせられるかもしれないけど面白くはない、というのがとりあえずの感想だ。アフタヌーンなことで『寄生獣』と比べられたりするようだが、ミギーは好奇心から人間の考え方を理解しようとしていたので、そこが大きく違う。個人的に『寄生獣』の落とし処はとても巧いし良かったと思っているけど、本作がどういう答えを出すのかについては、実はあんまり興味が湧かない。 アニメとしては、新会社ながら作画が良くてクオリティは高い。低音フリーレンもチャーリーの達観した感じによく合っている。神戸光歩は気の強さを先行させた演技で、林原めぐみというより雪野五月っぽい印象。そして、やっぱり大塚明夫は強い。 どうしても、オリバー君を思い出すよな。 darwinsincident.net/

ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- #24

非合法ヒーローたちの軽めのノリが楽しかった第1期とは打って変わって、 なんだか重めな展開が続く第2期。航一やポップの出番は激減し『ヒロアカ』キャラが大量投入され、心配していた通り「ほらほら感動しなよ」という演出が目立ち始めて、せっかくのスピンオフ感は台無しになってしまった。キャプテンの話はともかく、イレイザーの過去話なんかここで延々やられてもな。 あとは、いやもうそれ個性じゃなくて怪獣じゃん、とか。いやもうそれNo.6じゃなくて犯沢さんじゃん、とか。 #08 vigilante-anime.com/

東島丹三郎は仮面ライダーになりたい #24

仮面ライダーに憧れた大人たちが仮面ライダーへの愛をぶつけた作品だった。ストーリーはギャグを交えたオリジナルで、王道ヒーローものというわけでもないのに、リスペクトとは明確に異なる「思い入れ」が随所に感じられて、下手なリメイクやニチアサなどよりもよほど仮面ライダーだった。 意識しているのか分からないが、変身シーンでの小西克幸が藤岡弘、鈴村健一が宮内洋の声に寄せているようで、すごくカッコ良い。『クウガ』もそうだったけど、蜘蛛男と蝙蝠男が居るだけで世界がすごく仮面ライダーぽくなる。逆にタックルは二代目と割り切ったことで縛りを受けず、茅野愛衣の味が良い感じに活かされた。 そして最後の対決では、ここぞのタイミングでBGMがアレンジ版からオリジナルの藤浩一(子門真人)版に切り替わり、それまでパンチで戦ってきた東島が満を持してのライダーキックを繰り出す。もう、盛り上がる盛り上がる、超楽しい。 令和の若者はついてこれたのだろうか。ぜひ続編やって欲しい。 #02 tojima-rider.com/

地縛少年花子くん2 #24

境界に行って葵ちゃん取り戻して花子くんつかまえて、いい感じでクライマックスで盛り上がったねと思ったら、まだ終わらない。原作者が療養中なこともあり、大団円はまだ遠そうで。 独特の絵柄が子供向けにも見えてしまうけど、元気に走る寧々ちゃんの笑ったり泣いたりに自然と惹かれる、雰囲気の良い作品。作画はキレイだし視点がちゃんと三次元的に動くし、アニメーションとしての出来も良い。シリアスになり過ぎない語調や演技の加減がちょうどハマっていて、シンジくんのせいで聞く機会が少なくはなったけど、やっぱり緒方恵美は上手いと思う。 もっけちゃんも可愛いけど、吾妻ひでお信者にはとにかく寧々ちゃんの足首が尊いのですよ。 hanakokun.com/2nd/

太陽よりも眩しい星 #12

うん、分かってた。どんなに鈍くても第3話で分かってた。まさかそのまま12話まるまる引っ張るとは思わなかった。同じ原作者で面白かった『俺物語!!』は3話でちょうど良かったのに、少女漫画らしいとは言え、さすがに1クール我慢するのはキツいって。 このうえ第2期って、いったい何やるんだろう。 tamahoshi-anime.com/

多聞くん今どっち!? #07

熱狂的なアイドルヲタクの女子高生が、家事代行で推しの家に行ってその根暗な本性を知ってしまい、それでも全力で推す話。 イケメンアイドルたちの裏の顔にどろどろしたりせず、あまりラブラブしたりもせず、あくまでヲタクらしく推し続けるという姿勢が、楽しく観られるポイント。男性アイドルものは興味ないし、逆ハーレムと言えば逆ハーレムなんだけど、メンバーの本性がクズばっかしなので気持ち悪さは少なめ。主人公は全く女子高生に見えないけど、早見沙織のハイテンションモードにはよく合っているキャラだと思う。 アイドルのファンがこういうのばかりなら、駅前もあそこまで汚れないんだろうけどな。 tamon-anime.com/

悪魔くん #07

なんだかやる気のない二代目悪魔くんが探偵みたいなことをするNetflixアニメ。映画『鬼太郎誕生』でも思ったけど、原作者の没後に好き勝手な改変版を作るというのは、やっぱりモヤモヤする。 ダウナー悪魔くんは何がしたいのか全然分からない。メフィスト三世は弱くて使えない。テコ入れぽく初代が意味なく顔を出し、その妹はなぜかメフィスト二世と結婚して世俗にまみれてる。旧作ファン向けに十二使徒でも出すかと思ったら、鳥乙女の話なのに家獣しか出てこない。そのくせエンディングでは百目とこうもり猫が無駄話するので、旧作を知らないと意味不明。 リスペクトも無いけどオリジナル設定のセンスも無い残念な出来で、メフィスト三世が古川登志夫なことくらいしか救いが無い。ダークな雰囲気の大人向けを作ろうとしたのに、旧作ファンを取り込むために子供向けヒーローアニメ版をベースにしたのが大間違いだと思う。どうせなら、チョビ髭おっさんメフィストで実写版のリメイクとかやってくれれば笑えたんだけど。 www.toei-anim.co.jp/akumakun/

透明男と人間女 #07

獣人やエルフなど様々な人種が共存する社会で、紳士な透明男と盲目の人間女がほんわか恋愛する話。互いの個性を少しずつ知りながら互いの個性に少しずつ惹かれていく、かと思いきや割と初っ端からくっついてるので、初心な夜香さんの可愛さを楽しむのがメイン。 すべてを「個性」として、主役の二人をはじめ様々な人たちの悩みや生き方を描いているが、あまり暗くならずに「それが普通」というスタンスを基本としてるのが良い雰囲気を作っている。ただそこにゲイまで含めるのは、例によって多様性同調圧力みたいで、個人的にはマイナス印象だけど。もし透明男が透明でなかったら、もし人間女が盲目でなかったら、それでも二人は夫婦になっただろうか。そういう疑問を払拭できるような、入り口は個性でも最後はやっぱり存在として惹かれ合ったんだと思えるような、おキレイかもしれないけど理想的な展開になることを望みたい。 貫井柚佳は『矢野くん』よりも喜怒哀楽を強調していて、ちょっと花澤香菜っぽくもあり、とても可愛く感じられて良い。アニメ的にはファッションにこだわってるみたいで、スーツ監修てのがちょっと笑える。副題の「そのうち夫婦になる」は、ほんわか恋愛ものという方向性を明確にしているものの、結末をバラしてしまっているという意味では、付けて欲しくなかったかも。 tomeiotoko-ningenonna.com/

地獄楽 #18

江戸時代、主人公の抜け忍ら死罪人たちが、免罪を条件に不老不死の薬を求めて謎の島で化け物と戦う話。和風やら中華風やらの味付けで、いわゆるファンタジー系のモンスターとは違う雰囲気のバトルが特徴。 制作がMAPPAで画はキレイなので、肉肉した化け物とのバトルがちょっと目新しく見えて、第1期はそれなりに面白かった。極限の状況下で同行する執行人たちと共闘する流れも良かったと思う。 第2期は全体的になんだかダレてきた感じで、これからどーすんだかという停滞感が観る気を削いでいる。タオタオ言い始めてからだんだん面倒臭くなって、五行思想で一気に興ざめしたというのが率直な感想だ。 花守ゆみりは、『かぐや様』早坂などの無愛想喋りはすごく良いんだけど、普通に感情を入れて喋るときの演技になんだか奇妙な違和感がある。おそらくは、こちらが想像するよりも、声のトーンが一段高くて語調の振れ幅がちょっと大きいのだと思う。主観に過ぎないのかもしれないけど、それが気になって、あんまり上手くないように聞こえてしまう。感情を抑えた演技が得意なはずの小林千晃も本作ではいまひとつだし、高橋李依のユズリハちゃんが喋るたびに、見た目も合わせて全部持ってかれちゃってる印象で、これはどうにも苦笑するしかない。 www.jigokuraku.com/

勇者パーティを追い出された器用貧乏 #10

追い出されたけど実は超有能だった、といういつものやつ。作画は割とキレイで、追い出した方が普通に責められるためストレスも少なめ。 古い人間なので、なろう系の言葉遣いにはどうにもモヤモヤすることが多い。いろんなことができるというだけで「器用貧乏」とは言わないし、そんな言葉で罵倒はしない。納期が厳しいとか残業が多いとかだけで「デスマーチ」とは言わないし、毎日会社に行っているというだけで「社畜」とは言わない。単なる誤用ではなく後ろにある被害者妄想が透けて見えるから、余計に気持ち悪いんだと思う。 『公女殿下』ほどじゃないけど、指導側に回るとロリコン臭が出てくるのはなぜだろう。 kiyou-bimbou.com/

うるわしの宵の月 #07

整った容姿と凜とした態度から「王子」と呼ばれている美少女が、チャラい金持ちという意味で「王子」なイケメン先輩と出会い、秘めていた女の子らしさが溢れ出てきてどんどん可愛くなる話。 設定通り宵ちゃんの顔面が美しくて、思春期な表情がなんとも可愛くて良い。少女漫画らしく展開は甘々な恋愛ものなので、イケ好かない先輩は気にせず、ひたすら可愛い宵ちゃんを愛でるのが楽しい作品だ。顔面重視で「可愛い仕草」のような動きの魅力が全く無いのは残念だけど、酷い出来の作品が多いとこなので画がキレイなだけでもまだマシな方。共同制作のお手柄だろうか。 高校の制服がなぜか短いタイトスカートで、OLみたいなのが違和感大。せっかくの浴衣はカット少なくて淋しい。実写映画もやるらしいけど、「絶対的な美少女」という時点でどう考えてもアニメが正解でしょ。 uruwashi-anime.com/

ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん #12

完璧超人の美少女だけど血を吸うのが下手な吸血鬼女子高生が、バブバブしながらクラスのみんなと仲良くなる話。特に何も起こらないが、特にストレスも感じない。海外に投げちゃってる割には、作画の出来も気にならない。 クールビューティで『アーリャさん』かと思ったら、二頭身バブバブだった。ラブコメやるのかと思ったら、別に何もやんなかった。二頭身になるのはデフォルメ表現かと思ったら、本当に体型変化する設定だった。そういうのを気にしない寛容さが必要だ。体型変化はハードル高いぞ。 のっぺら男キャラが不評のようだが、個人的には口が無いのより口が開くときの方が気持ち悪く感じる。性格ものっぺらで無駄な主張が無いので、『阿波連さん』の男キャラほど不快とは思わなかった。 あとはカーディガンさえちゃんと着てくれれば。 kyuketsuki-chan.com/

転生悪女の黒歴史 #09

自分が中学生の時に書いていた中二病ファンタジーの世界に転生して、黒歴史のイタイタしさに身悶えながら死亡フラグを回避していく話。ラブコメ少なめのハイテンションギャグなので、また悪役令嬢ものかよと思って観ると全然違ってて結構面白い。 中二病ファンタジーという理由によって、ベタ設定とベタ展開がすべて正当化される。これはもう着眼点が見事としか言いようがない。ありがちでベタベタであればあるほど、黒歴史というリアリティが増すからだ。ギャグに振り切っているので気づきにくいが、意外とストーリーもちゃんとしている。 一方、表現がすべて漫画的なので、アニメーションとしては惹かれるところが無い。画面上の文字でギャグを処理してしまっているのは、せっかくのアニメ化なのに残念だ。ノリに合ってると言えば合ってるので、まあこれで正解なのかもしれないんだけど。 青山吉能は、ヲタクぽく早口で喋りまくるキャラが多いな。 tenkuro-pr.com/

違国日記 #06

孤独を好み人見知りで大人らしくない大人と、両親を亡くした人懐っこい性格の思春期少女と。互いを違う国の人間のように感じる二人が同居して、それぞれに生きていく話。日常生活を描きながら、すぐそこにある異世界に触れる、ちょっと文学的な雰囲気の作品。 絵柄のせいもあって最初は解らなかったが、なるほどこれは沢城みゆきの演技力が必要だ。言葉と語調の選択がとても繊細なので、キャスティングを間違えたら、おそらく台無しになっていただろう。相手を拒絶するわけでも否定するわけでもなく、かといって理解するわけでも許容するわけでもない。激しくぶつかることも寄り添い支え合うことも別に必要としない、ただ戸惑いながらも横に居る、そういう関係が不思議に現実的で、「人間はみんな孤独」を誠実に表現した作品のように感じる。 近頃は「知らないから怖いんだ」などと解ったような台詞を吐くアニメにイラっとすることが多い。違う価値観を受け容れましょうとかいう価値観を押し付けてくるアニメにイラっとすることも多い。そういうイラつきをすとんと落としてくれる共感が、本作に惹かれる理由だと思う。 大切なのは、ここで描かれているのは発達障害でもLGBTでもないということ。孤独の普遍性を見誤ってはいけないのだ。 ikoku-anime.com/

お気楽領主の楽しい領地防衛 #08

貴族に転生したけど追放された主人公が、辺境で楽しく領地を発展させる話。今期はなんだか「酷くはないけど面白くもないバカっぽい作品」が多い気がする。 ベタな異世界もの設定にベタベタなパロディてんこ盛りで、ギャグというよりふざけてる感じ。ルーデウスが妙に明るくなったなあと思ったら違ったし、 キルア喋りの伊瀬茉莉也は例によって無駄に深刻ぶってるし。結局、このノリを許容できるかが問題だろう。OPにイラっとしなければたぶん大丈夫。 今期で言えば『貴族転生』みたいな不快感は無いし、みんなイイ奴らでストレスも無いし、そんなに酷くはない。なんで優秀な息子を追放するほど生産魔術を軽視するのか、ちょっと疑問に思うくらいか。 オーバーラップは公募割れしたまんまだけどな。 okiraku-ryousyu-anime.jp/

シン・エヴァンゲリオン劇場版

エヴァは、旧劇場版『Air/まごころを、君に』でキレイに完結した。と、個人的には考えている。だから本作を観るまで、新劇場版はリメイクというより「凄まじくクオリティの高い二次創作」として楽しむスタンスだった。 観る側にとっては、同じ観る側による二次創作『GQuuuuuuX』が琴線を弾きまくったのとは違って、作る側によるセルフ二次創作が必ずしも「ツボにハマる」とは限らない。本作で言えば、初期ロットちゃんの「○○って何?」連発がどうにも居心地悪くて、村での話はちょっとツラかった。綾波が綾波らしくないのは、TV版第26話もそうだったけど、なんか許せない気持ちになるみたいだ。 まあそれでも、ヴンダーに戻ってからの展開はさすがの緻密さと豪快さで、エヴァな面白さを十分に楽しめた。よく分かんないけどそれっぽいカッコ良い設定で、よく分かんないけどそれっぽいカッコ良い用語で。マイナス宇宙とか新しい槍を作るとか、よく分かんないけどそれはそれで良いんだよ、だってエヴァなんだから。 そして驚くべきことに、新劇場版は二次創作ではなく紛れもないリメイクだった。30年前とは展開が大きく変更され、作画が大きく進歩しているにも関わらず、既視感が溢れ出てくる。最終的に描かれていたのは、旧劇場版を塗り替えるものではなく、TV版すら否定するものではなかった。庵野監督が抱いていたテーマは、かつて夢中で観ていた作品は、何も変質していなかった。それが、なんとなく嬉しかった。 勝手に分析するならば、エヴァは女性を描くことに強くこだわっている。綾波は、主人公にとって女性ではなく「男性から見た異質な存在」の象徴な気がする。アスカは、愛に飢えて脆く、愛に満ちて強い、主人公にとって「異性としての女性」だろう。ミサトは、娘として過去を背負い、女として葛藤し、母親として去っていく、まさに「女性」そのものだ。 そんな中で、主人公にとって大きな存在の男性である「父親」のゲンドウは、息子との接し方に惑い、ある意味では怯えている。本作ではその隠された心情がより直接的に描かれたが、『まごころを、君に』でも彼は「怖かった」と言っている。いろいろ暴れたり壊したりとアニメ的に面白い部分は変わっていても、その奥には同じ人間の内面の物語があったわけだ。 社会現象となったことで、ディズニーとジブリしか知らない連中が「なにこれ分...